高い建物の影にある家

ここでは広い空間に一軒家とマンションが1棟ずつある場合を検討してみます。
ちなみに、一軒家の横幅は8m、高さは6m(+屋根2m)、マンションの横幅は10m、高さは15mとしています。
一軒家とマンションの間隔は4m、風速は1m/sです。

まず、一軒家が上流、マンションが下流側にある場合です。

この場合、左から吹いてきた風は、手前の一軒家に当たり、風は上空へ逃げて、マンションの上を超えていく、という流れになっています。
これなら、一軒家にも風が当たっているので、窓を開ければ気持ちいい風が抜けていくはずです。

一軒家が上流の場合(流線)

これを左右反転させた場合、どんな流れになるでしょうか。

シミュレーションを実施すると、次の図の様になりました。

一軒家が下流(高い建物の影)にある場合(流線)

この図も風が左から右に向けて吹いています。
マンションと家の位置は最初の図から反対にしました。

流れの違いはわかりますか?

一見、似たように見えるかもしれませんが、次の点が違います。
 ・マンションの左側には風が強く当たっている
 ・一軒家にはほとんど風が当たらない
この状態では、マンションの住人は窓を開ければ風が抜けていくのを感じられますが、一軒家の住人は窓を開けてもほとんど風を感じられません。

別の見方をするため、コンター図という塗りつぶした絵を見てみましょう。

一軒家が上流の場合に比べて、

一軒家が上流の場合(コンター)

反対から風が吹く場合には、一軒家は高い建物の影に入っているため、家の周囲が真っ青になっています。

一軒家が下流(高い建物の影)にある場合(コンター)

真っ青という事は、ほとんど風が流れていない事なので、一軒家にはほとんど風が入ってきません。

実際には、風向きは日によって様々に変化しますので、この一軒家でも風が感じられる日はあります。
ですが、1年のうちの平均的な風向は地域ごとにある程度決まっていることが多いので、住んでいる地域の風向を意識して土地を選ぶ事と家を設計する事はとても大切です。

平均的な風向の事を「卓越風」と呼ぶようですが、卓越風については次回記載したいと思います。

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