風下から風上へ風が流れる?
こんにちは。
このBlogでは住宅の内外の空気の流れをコンピュータシミュレーションで解析していきます。
最終的に、自分が納得いく家を建てて、快適な生活を目指します。
前回までは家の中の風通しがどうなっているのかを見てきました。
その結果、風下方向の窓から風が入ってきて、風上に位置する窓から風が出ていくという、予想外の結果になっていました。
室内の流れなどの詳細はこちらからご覧ください。
ざっくりとしたイメージですが、室内外の風の流れはこんな感じになっていました。
図の左上が風上で右下が風下ですが、家の中では下から上に風が流れるという図です。
一見不思議な事が起こっている様に思いますが、今回はその理由について検討してみたいと思います。
そのため、まず、家の周辺の流れを確認します。
先ほどの圧力分布の図に、流線という風の流れを示す線を重ねたものになります。
この図だけでは少し分かりづらいかと思いますので、注目したい流れにちょっと落書きしたものを載せます。
矢印の方向が風の流れで、丸で囲んだ部分に向かって風が吹いています。
この部分では2方向からの流れがぶつかっています。
流れがぶつかる事によって圧力が上がります。
圧力が上がった部分は赤い色の表示になっています。
もう1点注目する流れがあります。
それがこちらです。
屋根の上に沿って風向きと同じ方向の速い風の流れが生じています。
ベルヌーイの定理というものがあり、流れが速くなると圧力が下がるという現象が生じます。
再度、この部分の圧力を見てみると、屋根の上で圧力の低い(青い)部分が生じている事がわかります。
さらに、風上方向から見て隣家の陰になっている部分があり、この部分は風が流れにくいため負圧(圧力が低い部分)になっています。
風は基本的に圧力の高いところから低いところへ流れます。
イメージとしてはこんな感じの流れです。
実際には家の中には壁がたくさんあるので、この様な直線的な風の流れにはならず、冒頭で紹介した様な流れになりました。
基本的には風下から風上へ風が逆流する事は無いのですが、住宅街では周辺に家があって複雑な流れになっています。
その結果、家の中では風上方向から風が流れるとは限らないという事です。
住宅メーカーで通風シミュレーションを実施してくれる場合もありますが、周辺の建物の影響を考慮して風向きを見極めなければなりません。
そもそもの前提条件となる風向きが間違っていたら、意味のないものになってしまいますので。
これから家を建てられる方は参考にしてください。
次回からは家中の換気のシミュレーションを紹介したいと考えています。
シミュレーションの開発に少し時間がかかっていますので、更新間隔が空くと思いますが、お許しください。