エアコン(冷房)の位置はどこが良いのか？(Ua値0.87)

こんにちは。
このブログでは家の間取りと換気・空調といった空気・風の流れ・温熱設計をコンピュータシミュレーションしています。
前提は高気密の住宅です。
高気密でないと予測できないところからすきま風が入ってくるなんて事も起こり得ますので、ちょっと横に置いておきます。

前回までは、ネット上で見つけた参考の間取りでエアコンが2階の廊下にある場合をシミュレーションしました。
前提条件としては以下の様にしていました。

• エアコンから出てくる空気の温度は20℃、風速は中ぐらい？
• 外気温は35℃を想定し、第3種換気の熱交換によって、各部屋の壁に設置した換気口から外の空気が入ってくる。
• Ua値は0.87(前々回)・0.46(前回)とする。

今回はUa値を0.87にして、エアコンの位置を階段の真上に設置した場合をシミュレーションで検討します。

狙いとしては、1階と2階の空間をつなぐ”階段”のすぐ真上にエアコンがあると、1階にも2階にも満遍なく冷気が届いて、1階と2階の温度差が無くなるのではないかという考えです。

早速シミュレーションの結果を見てみたいと思います。
まずは家の中の流速の分布です。

流速の分布は流線で示しています。
0.3m/s以上が人間が認識できる風の流れとすると、階段の位置(エアコンの真下, 図の左手前の位置)では風を感じるぐらいで、他の部屋ではほとんど室内の空気の流れを感じる事は無さそうです。

次に各部屋の温度を見ていきます。

まず、特徴的な事として(当然といえば当然なんですが)エアコン直下の階段と2階の廊下の温度が他の部屋に比べて低い傾向になりました。
温度は大体22～23℃程度です。
次に2階の真ん中の部屋(子供部屋を想定している)の温度は他の部屋より0.5℃ぐらい低そうです。
それ以外の部屋は概ね24℃～25℃の間ぐらいになっており、1階と2階の温度差は2階の廊下にエアコンを設置した場合(1～2℃)と比べて小さくなっています。

効果はごくわずかかもしれませんが、1階と2階の空間をつなぐ位置(今回の場合は階段)の真上にエアコン(冷房)を設置した方が1階と2階の温度差を小さくできる事が分かりました。

後日、2階の廊下にエアコンを設置した場合と今回の結果を詳細に比較した所、1階の温度は両者とも24℃～25℃で同程度、2階の各部屋の温度はの2階の廊下にエアコンを設置した場合方が低い事が分かりました。
ですので、今回の間取りの場合は、階段部にエアコンを設置すると、2階廊下に設置する場合よりも2階の冷却能力が落ち、1階の温度はほとんど変わらないという結果になりました。

今回の検討でも、料理によって生じる熱や風呂のお湯から伝わる熱に関して考慮していません。
実際に生活してみると1階と2階の温度差をシミュレーションの結果よりも大きく感じてしまうかもしれませんという事を補足しておきます。

次回は、今回と同じエアコン位置で、Ua値0.46の場合をシミュレーションしていきたいと思います。

なお、この参考にした間取りの家がどの様な換気システム・断熱性能を採用しているのか知りませんので、この間取りが良い・悪いという意図は全くありません。
ご了承ください。