階間エアコンで暖房シミュレーション
こんにちは。
このブログでは家の間取りと換気・空調といった空気・風の流れ・温熱設計をコンピュータシミュレーションしています。
前提は高気密の住宅です。
高気密でないと予測できないところからすきま風が入ってくるなんて事も起こり得ますので、ちょっと横に置いておきます。
前々回、ネット上で見つけた参考の間取りで冬場の暖房を壁かけエアコンで行う場合のシミュレーションをしました。
壁かけエアコンでは、(詳しい方は想像がつくと思いますが、)天井付近と床付近で温度差がある、1台のエアコンで1階と2階を温める事は難しいという結果になりました。
何とか1台のエアコンで家中を温められないのか?と考えて、階間エアコンが良さそうだと思ったのでシミュレーションしてみました。
ただし、通常の階間エアコンではブースターファンという、暖房を1階へ、もしくは、冷房を2階へ送る装置が付いていますが、今回はまずブースターファン無しでどうなるのかを検討します。
まずはエアコンと吹出し口の配置を決めていきます。
エアコンの吸込み口は2階に設置する事になるため、2階の廊下に面した位置にエアコンを配置する事にしました。
その場合の階間の空間はこの様な形に決めました。
次に2階・1階の吹出し口の位置を決めました。
なるべく家中に満遍なくエアコンの空気を送り込みたいと考えて、少し多めに配置しています。
図は家を真上から見た配置にしてあります。
シミュレーションの条件としては以下の様になっています。
それでは結果を確認していきます。
まずは流速の分布です。
まず目につく流速の速いところは、1階と2階の間(階間)の空間です。
ここはエアコンから吹出してきた暖かい空気が通っています。
エアコンの吸込み口の辺りも比較的高い流速になっています。
また階間から1階と2階へ吹出す流路の部分も高い流速になっていて、1階へも2階へもエアコンの暖気が供給されている事が分かります。
次に目につく特徴は、2階の流速が1階に比べて高そうだという事です。
温かい空気は冷たい空気よりも軽いため高いところへ集まるので、この様な傾向になっていると推測できます。
次に温度の分布を確認します。
温度分布で特徴的なのは、2階の温度が1階の温度に比べて5℃程度高い事です。
1階の温度も約20℃になっているので、それほど寒くは無いと思います。
また、1階の天井付近と床付近、2階の天井付近と床付近を比べると、それぞれ2~3℃程度の温度差になっていそうなので、1階と2階それぞれだけを見ると決して悪い結果ではない様に思います。
ただし、1階と2階を行き来する事を考えると、5℃の違いは違和感を感じるかもしれません。
また、壁から室内の熱が逃げてしまうので壁際は少し寒く感じる可能性があります。
壁かけエアコンに比べると、かなり改善されたと思います。
この結果からは、2階が暖まりすぎている様子ですので、2階の吹出し口の数や大きさを調整する事で1階も2階もほぼ同じ温度で快適に過ごせる可能性がある様に思います。
次回は吹出し口の数を変えたシミュレーションを実施してみようと思います。