換気状況のシミュレーション with 大きな吹き抜けの家

こんにちは。
このブログでは家の間取りと換気・空調といった空気・風の流れ・温熱設計をコンピュータシミュレーションしています。
前提は高気密の住宅です。
高気密でないと予測できないところからすきま風が入ってくるなんて事も起こり得ますので、ちょっと横に置いておきます。

今回はリビング空間に大きな吹き抜けのある間取りでシミュレーションをしていこうと思います。
なお、用いる間取りは、インターネット上で色々な間取りを参考にしながら、少し改変したものを使っていきます。
立体的に間取りを見たい場合はこちらをご参考にしてください。

換気システムには、1種・3種がありますが、今回は1種を想定したいと思います。
空気の入れ替えという意味ではどちらも効果的ですが、1種の場合は室内と室外の空気で熱交換をするという点が違います。
1種の換気装置を想定した吸気・排気の位置を考えていきます。

今回は1Fも2Fも床面に排気口を設け1Fから排気する、吸気は床下の空間から行うという場合を想定してみたいと思います。
なので1F・2Fそれぞれの床に排気口があり、吸気口は1Fのみにあります。(さらに言うと、排気口はダクトで1F床下に繋がっていて、外気が入ってくるのも床下です。)

1Fの換気配置
2Fの換気配置

シミュレーションの条件としては以下を想定しています。

  • 外気と室温の差は無い
  • 1時間に2回程度家中の空気が入れ替わる程度の換気風量

では次にシミュレーションの結果を見ていきます。
この家の東西南北は特に決まりはありませんが、吹き抜けのあるリビングが南側と想定し、水回り(トイレ・風呂)が北側と想定して話を進めることにします。

まずは室内の流速の分布です。

流速分布(北側から見た図)
流速分布(南側から見た図)

家全体を見渡すと、流速分布の高い部分(赤・黄・緑などの色の部分)が1F・2Fそれぞれの床下部分にありますが、これは換気ダクト内の流れです。
室内は概ね青く表示されており、室内で換気装置による風を感じる様な場所はあまり無さそうに見えますが、南側から見た図の右下部分など、一部流速が0.5m/s程度の場所もあります。
これぐらいの流速になると少し風を感じる様になると思います。
この場所は床下からの吸入孔の真上になっていて、外部からの新鮮な空気が入ってきています。
もし吸入孔の上でも風を感じたくない様であれば、吸入孔の位置を変えるか、吸入孔の数を増やして風量を分散する対応が考えられます。

次に室内に停滞する空気を可視化していきます。
シミュレーションの条件として、計算上は1時間に2回、家中の空気が入れ替わる事になっていますが、部分的に空気の流れが無い滞留部が生じていれば、その場所の空気は入れ替わりません。
次の図では赤に近づくほど空気が滞留していることを表します。

滞留時間(北側から見た図)
滞留時間(南側から見た図)

1Fには青い表示が多く、空気が滞留している空間はあまり無さそうに見えます。
おそらく1Fには吸気孔と排気孔の両方があるため、滞留が生じにくいのだろうと考えられます。

一方2Fには少し赤い部分が見られます。
赤い部分は1時間以上空気が入れ替わっていない状況を表します。
この赤い部分はWICと書斎にある様で、この部分では若干空気の入れ替わりが少なくなるという予想ができました。

この滞留を「要改善」ととらえるか、「WICと書斎だけならまぁいいか」ととらえるかは人により分かれるところだと思います。
私個人の感覚としては、WICはそこそこの換気で良い、書斎は赤い部分が出ているとはいえ青い色の部分もあるので許容できる程度かなと思いました。

という事で、基本的な換気性能が確認できましたので、次回は暖房のシミュレーションを実施してみたいと思います。
暖房は床下に半分埋め込んだエアコン1台で家全体が温まるのかを調べる予定です。

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